スズメのペンダント（オーストラリア・読みもの）

2018_文学作品（英語）

『スズメのペンダント』

ロヒンギャの少年スービは、オーストラリアの移民収容センターで生まれた。フェンスの外の世界は何も知らなかったが、成長につれ想像力も育っていった。ある晩、近隣に住む少女ジミーがフェンスの向こうから現れた。ジミーは骨でできたスズメのペンダントをつけている。彼女が抱えていたノートには、亡くなった母親が残した家族の愛の歌と悲劇が綴られていた。スービとジミーには、自由になる方法もあるのだが、そのためには、とてつもない困難を乗り越える勇気が必要だ。主にスービの一人称で語られ、収容所という閉ざされた世界の単調な生活を通して、胸が張り裂けるような悲しみや残酷な現実が、ときにユーモアを交えて、巧みに描き出されている。読後には、希望、自由、友情、記憶、そして物語の力について考えさせられるだろう。

作家について　メルボルン生まれ。大学で歴史を学び、小学校教員を経て作家になる。絵本、小学生向け、YA向けの著書がある。2017年刊行の高学年向け作品は、人身売買された3人の子どもたちが自由を求める話だ。本作は、2017年カーネギー賞最終候補作となったほか、多くの賞で注目された。