目に見えないゾウ（ロシア・絵本）

2017_理解を深める本

『目に見えないゾウ』

　小さな女の子の気ままな生活に焦点が当てられた絵本です。女の子は、動物園で出会ったゾウなど、体験する何もかもに驚きます。女の子には豊かな想像力があり、彼女の世界は空想と現実の両方で満たされていきます。女の子が心のなかで見る風変わりなイメージは、細かく軽いタッチで描かれています。読者は、ページをめくって女の子のことを知っていくうちに、この子は目が見えないのだと気がつかされます。ほかの登場人物は、女の子に特別な注意は払っていません。読者もそうあるべきだと、作者はそれとなく伝えています。女の子はこの世界で安心しているので、自信を持って積極的に行動できます。好奇心を持ったことは、なんとかやってみようと方策を探します。楽しそうな女の子と周りの人たちとの愛情あふれる関係は、サポートがあれば、視力を失っても人生を存分に味わうことができるのだと教えてくれています。