あさになったので まどをあけますよ（絵本）

2017_共にたのしめる本

『あさになったので まどをあけますよ』

　朝、窓を開け、外を見る。この何気ない日々のくり返しが胸に響きます。読む人の目をうばうこの美しい絵本は、幅広い読者の心をつかむことでしょう。見開きいっぱいに広がる山や海、町並みなどの雄大な景色。朝日のふりそそぐパノラマの風景の数々を見つめていると、世界の大きさや自然の美しさがしみじみと感じられます。読者は、何度も絵本を開くうちに、イラストの細部に新たな発見があるでしょう。たとえば、いくつかの場面にあらわれる、子どもと思われる小さな人影。光あふれる大きな風景のなかに、小さな気配を感じられるはずです。詩のようなリズムを持った短いフレーズで構成される文章は、イラストのおだやかさをより一層引き立てます。絵と文は一体となって、この世界にはたくさんの喜びや可能性がひそんでいるということ、そして、その多くは窓を開けばすぐそこにあるのだと、読者にそっと思い出させてくれます。