さよなら、スパイダーマン（読みもの・原作イギリス）

『さよなら、スパイダーマン』

10歳の少年ジェイミーが5歳の時、ふたごの姉ローズがイスラム教徒のテロで死んだ。母親は男と出ていき、酒に溺れた父親は毎日ローズの骨壺を抱えて泣くばかり。ジェイミーは15歳の姉に心配されながらも、誕生日に届いたＴシャツを、母親からの贈り物だと信じることでやっと生きていた。その彼が、心を許し合えるイスラム教徒の少女との出会いをきっかけに、未来に光を見いだしていく。厳しい環境で生きるしかない主人公と家族の姿を、子どもらしい素直な視点で細やかに描く。（代田）