敏感すぎるわたし（オーストラリア・読みもの）

IBBYバリアフリー図書2023_障害が描かれた本

『敏感すぎるわたし』

　13 歳の少女サマンサは、引っ越しを機に新しい自分になろうと決めました。これまでの暮らしは、湿疹とアレルギーに悩まされていたからです。皮膚がぼろぼろになる炎症やアレルギー症状の苦しみ、たくさんの病院の予約と通院、なんとかして治そうとする母親の姿にもうんざりで、何より自分の肌の病気について知っている周りの人びとの目が嫌でたまりません。サマンサの人生は、病気のためにあるようなものでした。
　著者は主人公と同じような身体問題を抱えており、慢性疾患と共に生きる10 代の子どもの現実をありのままに語っています。つらい日常生活を、あえて率直に伝えているのです。
　医師たちには、サマンサの抱える不安や、治療よりむしろ症状が出ても落ち着いた生活を送りたいという気持ちを理解してもらえません。障害のある読者は、サマンサの姿に自分を重ねて共感することもあるでしょう。この物語は慢性疾患をもつ人びとが向き合っている肉体的、精神的な苦痛を描き出しています。