空色のベンチ（カナダ・絵本）

IBBYバリアフリー図書2023_障害が描かれた本

『空色のベンチ』

少女アリアは地雷で片足を失いました。戦争で机や椅子がなくなったため、学校では床に座らなくてはならず、義足で立ったり座ったりするのはひと苦労です。でもアリアはあきらめず、廃材を集めてベンチを作りました。手伝ってくれた大工さんは、勇気と平和の色だよと言って、椅子を塗るために空色のペンキをくれました。そんなアリアに刺激を受けたクラスのみんなは、教室の机などを自分たちで作ると言いだします。
　戦争をテーマに、読者の子どもの年齢にふさわしい物語を創るのはむずかしいものです。けれどもこの絵本は、それを巧みに描いています。読者は、歯が抜けたことや幼い弟のこと、学校の友だちとのエピソードなどから、登場人物と自分の共通点を見つけるでしょう。丁寧に描きこまれたイラストを通して、アフガニスタンの日常生活を垣間見ることもできます。戦争の影響を描いた物語であると同時に、人生が変わるような大きな経験の後で、問題に対峙し、前を向いて生きていく力について書かれています。