すごいね、イーディー・エッカート（イギリス・読みもの）

IBBYバリアフリー図書2023_障害が描かれた本

『すごいね、イーディー・エッカート』

イーディーは脳性まひ。でも、彼女の悩みは入学したての中学校で親友の男子オスカーと別のクラスになったうえ、彼がサッカーやガールフレンドに夢中ということです。イーディーは1 人で何もかも対処しなくてはならないし、学校生活にも慣れなくてはいけません。けれど、たくましいイーディーは積極的に行動して、好きな女子との恋愛を楽しむようになります。
　この小説はスラングを多用し、落書きや様々なリストをまじえた日記形式で書かれています。イーディーが周りの人たちと同じように扱ってもらえなかった不満や、友だちと交わしたジョークなどが時系列で記録されています。本書は障害を、克服すべき重大な欠点としてではなく、主人公の個性の１つとして、ほかの要素と区別なく描いている点が魅力的です。自身も脳性まひの同性愛者であるコメディアンのロージー・ジョーンズは、自身の実体験を取り入れ、愛すべきキャラクターを生みだしました。障害やセクシャリティを多角的な視点で描いた、児童書としてはこれまでにあまりなかった作品です。