トルコの泉（スロバキア・読みもの・スロバキア語）

IBBYオナーリスト2022_文学作品

『トルコの泉』

現在、スロバキアといわれる地域では、150 年以上にわたりオスマン帝国の影に怯えていた時期があった。1526 年のモハーチの戦いでスレイマン１世がハンガリー軍を破って以来、1685 年のノベー・ザームキ解放まで、オスマントルコ人による度重なる襲撃と略奪があったのだ。この時期のことはスロバキアの歴史の汚点となっただけでなく、人々の心の傷としても代々継承されている。オスマン帝国統治時代の珠玉の伝説を集めた本作には、トレンチーンにある愛の井戸の言い伝えや、トルコの高官を救ったリマフスカソボタ出身のふたりの男による奇跡などが収められている。2019 年、春の子どもの本最優秀賞を受賞。

●作家について／ 1941 年にバンスカー・ビストリツァ近郊で生まれる。ブラチスラバのコメンスキー大学でスロバキア語とスロバキア史を専攻。児童文学批評誌「黄金の５月」の編集者として経験を積んだ後、子ども向け雑誌「おひさま」の編集長を務める。1993 年、子どものための芸術批評誌「Bibi-ana」を創設、現在も編集長を務めている。作品に「シダの花」（1981）、「スロバキアの子どもの本の歴史」（1991）などがある。