わたしの知らない歌（ペルー・絵本・スペイン語）

IBBYオナーリスト2022_文学作品

『わたしの知らない歌』

「何年も前に死んだ友だちが、ときどき電話をかけてくる」。ミカエラ・チリフの詩をみごとな絵本に仕立てた本書は、この言葉からはじまる。一人称で語られるのは、愛し合いながらも死によって引き裂かれたふたりの出会いだ。現世にいる彼女と、死後の世界の彼が、現実にはあり得ない電話を通じて午後じゅう語り合い、あたたかで親密な日常を再び分かち合う。喪失と、ずっと残りつづける大事な気持ちが細やかに綴られている。

●作家について／ 1973 年生まれ。数々の受賞歴を誇る児童文学作家、詩人。ペルー・カトリカ大学で哲学の学位、スペイン・バルセロナ自治大学で書籍と児童文学の修士号を取得。2013 年、『いいこにして、マストドン！』（邦訳：星野由美訳、ワールドライブラリー、2014）でフォンド・デ・クルトゥラ・エコノミカ賞を受賞。「おやすみ、マルティナ」（2009）、「あさごはん」（2013）など3 作が「ホワイト・レイブンズ」の目録に選出された。「トマスはどこ？」（2016）でクアトロガトス財団賞とユネスコ読書チェア賞を受賞。ノンフィクションの近作は「ペルーの動物」（2020）と「空を航行する」（2021）。