ヨーというできごと（ノルウェー・読みもの・ノルウェー語）

IBBYオナーリスト2022_文学作品

『ヨーというできごと』

11 歳のフリーダは、休み時間になるとクラスメートから離れて校庭を走り回っている。文字通りに！ 身体と心が走りたくてたまらないフリーダは、ほかの女子にからかわれてもあきれられてもかまわない。女子はみんな背伸びして男子と恋のことを話している。フリーダには興味がないことばかりだ。でも、ヨーが転入してきてフリーダの胸は高鳴る。笑い方、前歯のすきま、とにかく気になる。彼もフリーダのことを知りたがっている。子ども時代から思春期へ、友情から恋へ、みんなと違っていたい気持ちから周りに溶け込みたい気持ちへ、といった移り変わりを本書はとらえる。表現力豊かな言葉遣いやみごとな描写、おかしみのある状況への視点、好きになってしまう登場人物たちなど、朗読に最適な一冊。

●作家について／ 1977 年生まれ、クラーゲロで育ち現在はオスロ在住。熟練の俳優、演劇教師で、劇作と演劇を教えるほか、150 を超えるオーディオ作品で朗読を担当している。ノルウェー児童書研究所で児童文学を学び、デビュー作の本書はノルウェー児童書新人作家賞の候補となった。2021 年には続編「ヨーとの夏」を刊行。