おなじ星をみあげて（カナダ・絵本・フランス語）

IBBYオナーリスト2022_文学作品

『おなじ星をみあげて』

ふたつの文化やコミュニティの違いと類似を、ユーモアとやさしさで描いたバンド・デシネ（グラフィックノベル）。厳格なユダヤ教徒の家の男の子ヤコブと、イスラム教徒の女の子アイシャは、宇宙が大好きなことから友だちになるが、どちらの親もふたりを引き離そうとして、庭に壁を作ってしまう。舞台であるモントリオールの現在の問題に、ふたりの空想も重なり、文化、社会、科学に触れつつ、他者に心を開くという普遍的なテーマを扱っている。子どもたちから親たちへ、人としての生き方を教える物語ともなっている。

●作家について／ 1958 年ケベック生まれ。地質学を学び、その職についた後、科学ノンフィクション「かしこい子どもたちーシヤンティフクス先生」シリーズ17 冊でイラストレーターに。「アルブラガン」と本作で、TD カナダ児童文学賞を受賞したほか、「アザダー」で2017 年総督文学賞、そしてともにモントリオール児童図書館賞を受賞。ほかの作品に、「ジュールとジム: 戦友」（2018）、アムネスティのキャンペーンから生まれた文字なし絵本「囚人への手紙」（2017）などがある。風刺漫画家としても活躍。