スーツケース（イギリス・絵本・英語）

IBBYオナーリスト2020_イラストレーション作品

『スーツケース』

３匹の動物は、新しくやってきたよそ者をあやしいと思った。よそ者のスーツケースには、なにが入っているのだろう？ 疲れ果てたよそ者が眠りに落ちると、３匹はその答えを知るべく行動を起こす。だが、その後には意外な展開と償いが待っていた。本作は、「我が家」と「居場所」の概念を織り込みながら、希望、信頼、移住を描いた美しい物語だ。登場人物たちは、それぞれ異なる単色で、背景は哀愁あふれるセピア色で描かれている。また、白地に色数を押さえた描写が、テーマやメッセージの強さとシンプルさを際立たせている。

＊画家について　ブラッドフォード出身。ブラッドフォード美術大学でイラストレーションとグラフィックデザインを学ぶ。2000年に渡仏し、英語教師等の職を経て、新聞社でレイアウトやデザインの仕事にたずさわる。子どもが生まれたのをきっかけに絵本に目覚め、夢中に。著書に、「このアリ食べるよ」（2017）、「だいすきだよ、ナナフシ」（2018）、「ひとりぼっちのクリスマスツリー」（2019）等。最新作は、2020年に出版された「どこからともなく」。