コールドミル（モルドバ・絵本・ルーマニア語）

IBBYオナーリスト2020_イラストレーション作品

『コールドミル』

ジェルサ村の住民は、冬が大好きだ。村には、みんなが作った水車がある。煙突から取り込んだ温かい煙をすりつぶし、ネコの毛みたいに気持ちのいい冷たさにする水車だ。この水車「コールドミル」を取り仕切るのは、エルフのボンデーン。ときどき、友だちのホリカが、母親お手製のドーナツを差し入れてくれる。ある日のこと、住民たちは奇妙な音を聞きつけた。春の音だ。みんなは寒さを守ろうとするが、寒さは雲の上へと飛んでいってしまう。すると今度は、子ネコの毛のように気持ちのいい温かさが村を包むのだった。ユーモアあふれる絵には水彩が用いられ、伝統的な技法で描かれている。

＊画家について　1947年、キシナウ生まれ。1971年、モルドバ工業大学の建築学部を卒業。背景画家、パペットクリエーターを経て、1970年代から子どもの本に絵を描きはじめる。グリゴーレ・ビエル/スピリドン・ヴァンゲリ作「ABCの本」（1970）、ヨン・クリヤンガ作「さいふと２枚の硬貨」（2008）等、手がけた作品は100を超える。2010年、キシナウの国際児童青年図書展でイーゴリ・ビエル賞を受賞した。