島（デンマーク・絵本・デンマーク語）

IBBYオナーリスト2020_イラストレーション作品

『島』

ある島の女の子と、サーディン缶の中にいる人魚の文字のない絵本。青緑色の水に囲まれた灰色の島に、小さな女の子はひとりぼっち。その大きな目からは孤独があふれそうだ。ある朝、女の子がサーディンの缶を開けてその中にとても小さな人魚を見つけると、世界はついに色づいていく。濃いグレーの鉛筆のラインに緑とピンクで彩色された絵は、美しく官能的で、そこからは喜びと不安が伝わってくる。細かな陰影と洗練された多彩な遠近法を用い、驚くほど精密な画面からは、さまざまなイメージが広がる。

＊画家について　1971年生まれ、デンマーク王立芸術アカデミーをはじめ、ニューヨークやリスボンの芸術学校で学ぶ。2013年から児童書の絵を描きはじめ、多くの作品に挿し絵をつけている。おもな作品に、メッテ・ヴェスー「スパイクシューズの女の子」（2017）、ティーナ・サクーラ・ベスレ「ブロムのおはなし」（2019）、ヤコプスン自身が文も書いた「反対っぽい」（2019）などがある。