わたしたちのあいだには（オーストラリア・読みもの・英語）

IBBYオナーリスト2020_文学作品

『わたしたちのあいだには』

少女アナ（アナヒタ）はイランからの難民。妊娠中の母と3歳の弟と一緒に一時収容所で暮らし、高校に通いながら入国許可を待っている。イランで目撃した暴力の記憶に苦しみ、悪夢を見ることもしばしばだ。そんなアナは、学校で、同級生の男子ジョノと心を通わせはじめる。ジョノの父ケニーはベトナムからの移民で、アナたちの収容所の職員だ。アナとジョノとケニー、この3人が、代わる代わる一人称で語るという構成で物語が進む。彼らの行く手には、暗雲が立ちこめているようだ。有刺鉄線と異文化に隔てられたふたりの若者が、恋に落ちることは可能なのだろうか？ 多文化、移民、偏見、自由への憧れというテーマを扱った作品。

＊作家について　シドニーで生まれ育つ。教育の学位を持ち、作家、脚本家、編集者、プロデューサーとして活躍。また、テレビドラマの脚本を多数手がける。小説のデビュー作「ノナとわたし」は、アボリジナルのコミュニティで暮らしながら執筆した。2作目となる本作は、難民一時収容所でボランティアをしながら執筆し、2019年オーストラリア児童図書賞・高学年部門を受賞した。