上を見て！（韓国・絵本）

2017_理解を深める本

『上を見て！』

　スジは、車の事故で両足が動かなくなった女の子。車いすに座って、住んでいるビルのバルコニーから、下の通りの人たちが急ぎ足であちこち行き交う様をながめて過ごします。そして誰かが自分に気づいて挨拶してくれないかな、と願っています。ある日とうとう、通りの男の子がスジを見つけて話しかけます。その小さな出来事は、高いところにいるスジと下の通りにいる忙しい人たちの距離を埋めるのに十分でした。ほかの人たちも立ちどまって上を見あげ、スジと下の人たちは互いに関わり合うようになります。白い背景にゆるやかな黒い線で描かれたスケッチ風のイラストは、上から見下ろした通りの風景をイメージさせます。そして、少年と出会った後、顔をあげたスジの笑顔や画面に突然広がる色からは、スジが物事を明るく見ることができるようになったことが伝わってきます。子どもたちは、文章の少ないページを繰りながら、イラストをすみずみまで眺めて楽しむことでしょう。