IBBY記者会見①:2026年国際アンデルセン賞発表
2026年4月15日

4月13日(月)、国際児童図書評議会(IBBY)は、イタリアで開催されているボローニャ・ブック・フェアの会場で記者会見を行い、IBBY各賞の受賞者を発表しました。授与式は、2026年8月にカナダのオタワで開催される「第40回IBBY世界大会」で行われます。
記者会見の動画は、IBBYのYouTubeチャンネルでご覧いただけます。▶▶
2026年国際アンデルセン賞
1953年に創設され、2年に一度、子どもの本の最高の作り手に贈られる国際的な賞で、作家賞と画家賞があります。2026年は、44の国と地域から78人の候補者がノミネートされました。スポンサー:Nami Island(韓国)
〔全候補者の推薦資料などもご覧になれます〕
2026年国際アンデルセン賞・作家賞
Michael Rosen(マイケル・ローゼン/イギリス)

1946年、イギリスのミドルセックス州生まれ。ユーモアや物語があふれるユダヤ人の家庭で、教育者の両親から読書の大切さを教えられながら育った。その体験が後の作風に大きく影響している。
オックスフォード大学を卒業後、教師として働き、1974年に最初の詩集を出版。これまでに、子ども向けから大人向けまで200冊以上の本を書く。イラストレーターのクェンティン・ブレイクやトニー・ロス、ヘレン・オクセンバリー等とともに多くの作品を作ってきた。
2007年から2009年には「子どものための桂冠詩人(ローリエット)」を務め、学校で詩の楽しさを広めた。ローゼンの作品は声に出して読むことでより魅力が伝わり、YouTubeでの朗読も多くの人に楽しまれている。子どもが普段使う言葉で、リズムやユーモアを大切にしながら読書の楽しさを伝えている。
一方、重い題材にも向き合ってきた。息子を亡くした経験をもとにした作品や、病気からの回復を描いた作品を発表。家族の歴史や戦争、移民といった難しい問題からも逃げずに表現してきた。
そのほか、大学で児童文学を教えたり、BBCのラジオ番組の司会をしたり、新聞や雑誌に記事を書いたりと幅広く活躍。2025年には「マイケル・ローゼンの日」(11月13日)が設けられ、子どもの詩に大きく貢献した人物として称えられている。
2026年国際アンデルセン賞・画家賞
蔡皋(さいこう、Cai Gao/中国)

1946年、中国の長沙生まれ。子どものころは、祖母の子守歌や昔話に囲まれて育ち、それが物語や絵への興味につながった。大学には進学できなかったが、ポスターを描く仕事や小学校の先生をしながら独学で絵を学び、1980年にデビュー。すぐに高い評価を得た。その後は絵本づくりに力を注ぎ、40冊以上の作品を発表、常に中国の児童書界をリードしてきた。作品には、生命への深い肯定や、しなやかな強さ、世界への驚きが色濃く表現されている。
画風は多彩で、西洋的な質感、中国民間芸術の力強さ、古典絵画の優雅さをうまく融合させている。『宝儿』(邦訳『パオアルのキツネたいじ』徳間書店)では、濃密な色彩で闇に立ち向かう少年の勇気を描き、『桃花源的故事』(邦訳『桃源郷ものがたり』福音館書店)では、陶淵明の神話的世界を、詩的な美しいタッチで再構築した。近年の作品『出生的故事』(How I Came to Be Me)や『不能没有』(What Would It Be Like Without…)では、子どもの純粋さや好奇心、新しい視点の大切さを伝えている。蔡皋の絵は、文化的な深みと豊かな感情表現で高く評価され、「受賞のプロ」と称されるほど多くの賞を受賞している。2022年、陳伯吹国際児童文学賞において特別貢献賞を受賞、その功績が広く認められた。
■ 2026年最終候補者(ショートリスト)
作家賞
アフマド・アクバルプール(イラン)
マリア・ホセ・フェラーダ(チリ)
ティモテ・ド・フォンベル(フランス)
イ・グミ(韓国)
パム・ムニョス・ライアン(アメリカ)
マイケル・ローゼン(イギリス)*
画家賞
ベアトリーチェ・アレマーニャ(イタリア)
リンダ・ボンデスタム(フィンランド)
蔡皋(ツァイ・ガオ)(中国)*
グンデガ・ムジカンテ(ラトビア)
ワリード・ターヘル(エジプト)
マリア・ウェレニケ(アルゼンチン)
■ 2026年国際選考委員
委員長
シャリーン・クライディエ(レバノン)
選考委員
ブレンダ・デイルズ(アメリカ)
ナディア・エル=コリー(エジプト)
ジョルジア・グリッリ(イタリア)
ダイアナ・コヴァック(アルゼンチン)
シャイラジャ・メノン(インド)
マレ・ミュールセップ(エストニア)
マーガレット・アン・サグス(アイルランド)
譚鳳霞(中国)
ホリー・トンクス(イギリス)
モルガン・ヴァスタ(フランス)
国際アンデルセン賞について

国際児童図書評議会(IBBY)が創設した「国際アンデルセン賞」は、1956年に最初の授与が行われました。世界で最も権威ある国際的な児童文学賞として、また子どもの本が未来を拓き平和を生むという理念からも、「Little Nobel(小さなノーベル賞)」と称されています。作家賞と画家賞があり、作家と画家の全業績を対象に隔年で授与されます。現在は、韓国のナミ島アーツ&エデュケーション社の協賛によって運営されています。
国際選考委員は、IBBYに加盟する各支部から推薦された候補者をもとに、2年ごとにIBBY理事会によって選出されます。賞の候補者は、それぞれの国と地域において児童文学に顕著な貢献をしてきた人物であり、IBBY各支部によって選ばれます。
日本からはこれまでに、赤羽末吉(1980年画家賞)、安野光雅(1984年画家賞)、まど・みちお(1994年作家賞)、上橋菜穂子(2014年作家賞)、角野栄子(2018年作家賞)の5名が受賞しました。
国際児童図書評議会(IBBY)について
国際児童図書評議会(IBBY=International Board on Books for Young People)は、84の国と地域にある支部で構成され、子どもと本をつなぐことを目的に活動しています。IBBYは、世界で最も長い歴史と高い評価を誇る、子どもと本のための国際組織です。「国際アンデルセン賞」や、秀でた読書普及活動を表彰する「IBBY朝日国際児童図書普及賞」等の贈賞のほか、子どもの本で国際理解を深めるため、各国の優れた児童書を収集して紹介する「IBBYオナーリスト」「IBBYバリアフリー児童図書」等の選書、「国際子どもの本の日」のキャンペーン、紛争や災害で窮地にある子どもたちを本で支援する「チルドレン・イン・クライシス」等の事業を行っています。https://www.ibby.org/
