トンネル(オランダ・読みもの)
De tunnel
IBBYバリアフリー図書2023_障害が描かれた本
『トンネル』
「わたしたちは今、3 人だけ。初めは4 人いたけれど、1 人は死んでしまうから。話し始める前に、そのことは知っておいたほうがいい」――冒頭の言葉が読者を一気に物語に引き込みます。舞台は1940年のロンドン。ドイツ軍の激しい空爆を恐れ、人びとは毎晩、地下鉄のホームに避難して過ごしていました。
この歴史的な戦争を背景にした物語には、4人のティーンエージャーが登場します。ポリオで足が不自由になった少女エラ、その弟ロビー、生きるため必死に金を稼ぐ孤独な少年ジェイ、そして貴族なのに看護師の仕事がしたくて、男の子に変装して家出した少女クィン。エラは地下鉄のトンネルに避難するたび、かつて治療で「鉄の肺(人工呼吸器)」に入っていた頃の辛い記憶が蘇ります。病気を忘れて新しい人生を切り開きたいのに。それぞれ不安を抱える4 人の生活に戦争は常に影を落とします。緊張感のある小説が好きな人や、戦地で暮らした経験のある人も本作に共感することでしょう。話の展開が早く、YA 世代に訴える力のある小説です。
出版社 | Em. Querido's Uitgeverij |
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初版年 | 2021年 |
ISBN | 978-90-451-2508-4 |
ページ数 | 231頁 |
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De tunnel
- Woltz, Anna
- Em. Querido's Uitgeverij
- 2021
- 231 pages
- ISBN 978-90-451-2508-4