チャンス（NF読みもの・原作アメリカ）

『チャンス　はてしない戦争をのがれて』

ポーランドに生まれアメリカで絵本作家になった作者は、４歳のときに住んでいたワルシャワの家をナチスドイツの爆撃で失い、家族とともにロシア、中央アジア、後にはヨーロッパを転々とさまよう。子ども時代の思い出をつづった文章と絵からは、その旅が戦争、飢え、病、寒さ、迫害の連続で、死や危険といつも隣り合わせだったことが伝わる。生き延びられたことは偶然（チャンス）といってもよかったのだ。思いつきで行動し時に行方知れずになる父親や、懸命に働き、物語を語ってくれる母親の姿も浮かび上がる。（さくま）