決める者たち（フランス・絵本・フランス語）

IBBYオナーリスト2022_翻訳作品（スウェーデン語からフランス語）

『決める者たち』

本を開くと、ページの左側に「決める者たち」、右側に「何もできない私たち」がいて、「私たち」は一方的に脅され、命令されつづける。ブランコをもっと高く漕げ、今度はおれたちがやるから出ていけ。「私たち」は毎回新しい楽しみを見つけるが、それもつぎつぎ奪われる。だが最後には、「決める者たち」が負けるのだ。豊かな色彩の絵はわかりやすく、背景に色鉛筆、人物にはインクが使われている。力と社会、暴力と抵抗、抑圧と自由、そして「ノー」の言い方が、ユーモアとともに描かれたすばらしい絵本。

●翻訳家について／脚本家でもある。フランス語とスカンジナビア文学で修士号を取得。舞台女優を経て、スウェーデン文学と戯曲の翻訳を開始。戯曲翻訳の国際センターであるメゾン・アントワーヌ・ヴィテの北欧委員会委員長。出版各社でスウェーデン語作品の検討、翻訳を行っている。おもな訳書に、キャタリーナ・マゼチ「スパイと幽霊」、ジェニー・イェガーフェルド「落ち着きのない母親」、ヤコブ・ヴェゲリウス『サリー・ジョーンズの伝説』（邦訳：オスターグレン晴子訳、福音館書店、2013）、ジェシカ・スキファウア「３人の少年」など。