ウォンバット（オーストラリア・絵本・英語）

IBBYオナーリスト2022_イラストレーション作品

『ウォンバット』

フィリップ・バンティングが創作した、ウォンバットの目録のような絵本。とぼけたユーモアと独創的な言葉遊びの楽しさに加えて物語性もあり、最後はラブストーリーとしてみごとに完結。声に出して読むのにぴったりの魅力的な作品だ。独特の色使いで描かれたイラストは、シンプルでありながら想像力を激しくかき立てる。カバー見返しの美しさ、ウォンバットというちょっと風変わりな動物がかもしだす温かさも魅力。ウォンバットはオーストラリアにしかいないけれど、本書は世界中にうったえるだろう。

●画家について／英国で育ち、現在はオーストラリアのクイーンズランド州に家族と暮らす。作家、イラストレーターとして、睡眠不足の親たちとその子どもたちにぴったりの絵本を創るという独特の才能を発揮。どの作品にも、読んでいるうちにふれあいが生まれるような工夫を凝らしている。デビュー作の『ぼくはフクロウ』（邦訳：木坂涼訳、BL 出版、2018）が2018 年にケイト・グリーナウェイ賞にノミネートされて以来、バンティングの作品は30 か国以上で翻訳出版され、高く評価されている。