エドソン・アランテス・ド・ナシメントとヒマラヤうさぎ（イラン・読みもの・ペルシャ語）

IBBYオナーリスト2022_文学作品

『エドソン・アランテス・ド・ナシメントとヒマラヤうさぎ』

エドソン・アランテスは、放火された映画館で数百人が犠牲となったイラン現代史上の悲惨な事件を物語る。それはアランテスと架空の書き手の会話がベースになるのだが、アランテスは書き手にこの事件を事実と異なるふうに語らせようとする。会話の途中で線や図形を描いたり、歴史を行き来したりといった実験的なプロセスが、読者に想像する余地を与えている。実際に起こった悲劇的な事件をユーモラスに語るために、ユーモアとエネルギーにあふれたキャラクターを登場させ、ストーリーは革新的な手法を用いて展開させている。

●作家について／ 1961 年アバダン生まれ。1997 年に児童書・YA 作品の創作をはじめた。著書は40 冊以上。死、戦争、移民、孤独、恐れなど、思春期の若者の関心事をおもな主題としている。「西の７階」（2008）、「魚の腹の中のヨナのロマンス」（2011）はそれぞれ2012 年と2014 年のIBBY オナーリストに選ばれ、「偉大な魔法使いと色の島の王妃」（2019）は2020 年の「ホワイト・レイブンズ」に掲載された。2022 年には国際アンデルセン賞にノミネートされている。