わが家へようこそ、ヘルミ（フィンランド・絵本）

IBBYバリアフリー図書2021_ポートレイト

『わが家へようこそ、ヘルミ』

兄ヤーッコと妹ヘルミを描いた3 冊の絵本の1 作目です。ヤーッコの家族は第2 子の誕生を心待ちにしています。でも、ヤーッコはなにかがおかしいと感じていました。両親はヤーッコに生まれてくる赤ちゃんについて心配があることを打ち明けます。ヤーッコは母親のおなかのそばで歌をうたい、赤ちゃんに会える日を楽しみにしていました。やがて生まれた妹ヘルミには、重い障害がありました。ヤーッコは歌をうたってヘルミをあやしてかわいがります。2 作目、3 作目では、ヘルミの短い生涯とその死が描かれています。
　このシリーズは、障害がある子どもがいる家族の支えになることでしょう。特に、幼い子どもたちと家庭の事情について、大切な、けれどもむずかしい対話を始めるときに役立つでしょう。自分の家族の事情と重なる描写から、子どもたちは心に浮かぶことをなんでも質問してもいいのだと、そしてきょうだいを無条件に愛していいのだと思うことでしょう。このシリーズは、たとえ人間に与えられた時が短くても、生きることのすばらしさを描いているのです。