メイソン・バトルが語った真実（アメリカ合衆国・読みもの）

IBBYバリアフリー図書2021_ポートレイト

『メイソン・バトルが語った真実』

７年生のメイソンは、大柄な汗かき体質。ディスレクシアで、いじめにあっていますが「前にはもっとひどいこともあった」と考え、受け流しています。例えば父親が家を出たこと、母親と祖父、そして親友ベニーの死。警察はベニーの事故についてメイソンを疑い、別の友人カルヴィンも行方不明になったことで彼を問いつめます。
　リアリティのあるミステリーで、メイソンの生き生きとした語りによって物語に入りこみ、彼の心情をよく知ることができます。ディスレクシアの読者は、メイソンの姿に自分自身を重ね、友だち思いの優しい彼を応援したくなることでしょう。テキストも章も短いのでテンポがよく、本文用紙は軽くめくりやすいクリーム色の本文用紙に、読みやすいフォントの文字が印刷されています。読書会では活発な議論が生まれ、参加者の共感を誘うことでしょう。学習障害のある人には、その人に合わせたアプローチをする、という考えかたを育むことにもつながります。