ほかのみんなとまったく同じ（デンマーク・読みもの）

IBBYバリアフリー図書2021_ポートレート

『ほかのみんなとまったく同じ』

リオノーラは義足をつけた女の子。彼女の母親に言わせれば、義足はメガネや顔のそばかすと同じです。リオノーラの友だちのヴィルマは障害者だと決めつけられることをかたくなに拒みますが、リオノーラ自身は障害とうまくつきあってきました。ただし、アウゴストに恋をして、周りとの違いを隠すために嘘をつき始めるまでは。みんなと同じでいたいだけなのに、リオノーラの嘘は大きくなり、友だちは離れていきます。
　ほぼ全編が見事な会話形式で書かれ、少し意外な展開のストーリーが魅力的です。罪のない噓をどうにかしようとするリオノーラの激しい感情に読者はひきこまれ、リオノーラを応援したいと思い、「みんなと同じでなくていいよ」と言ってあげたくなるでしょう。
　世界には、この本のように、障害をもつ主人公が登場する短い章立ての読みやすい本を必要とする読者がたくさんいます。10 代の読者は、他者と同じでありたいというリオノーラの痛切な願いに共感し、ありのままの自分を受け入れると人は強くなると確信することでしょう。