ここに何かあるよ！（イラン・絵本）

IBBYバリアフリー図書2021_特別な配慮のある本

『ここに何かあるよ！』

暗い部屋でゾウに会った人たちのお話をもとにした、ポップアップのさわる絵本です。わたしたちの理解が、いかに状況に左右されたものであるかを教えてくれます。元のお話では、人びとは暗い部屋でそれぞれゾウの一部分だけをさわるので、同じゾウを全く違うもののように表現します。たとえば、鼻をさわった人はゾウというのはホースのようだと言い、耳をさわった人はうちわのようだと言います。どちらの人もそれが全体のごく一部であることをわかっていないのです。
　リング製本で開きやすく、ページをめくるごとにゾウの一部が立体となって現れるしかけが付いています。読者への質問は大きな文字で印刷され、ペルシャ語と英語のバイリンガルで、それぞれ点字も付いています。最後はゾウが完全な形で立ち上がるしかけがあり、部分が全体を作り上げていることを理解できる仕組みになっています。目の見えない子どもにとって、隆起した輪郭を読み取る形式のさわる絵本よりも、立体的な表現を理解しやすい本です。