ある日、ある川（ブラジル・絵本・ポルトガル語）

IBBYオナーリスト2020_イラストレーション作品

『ある日、ある川』

なす術もなく、鉱山による汚染にさらされた川が、取り返しのつかない事態を嘆くさまを描く。2015年、ブラジルのミナスジェライス州マリアナの鉄鉱山ダムが決壊し、近郊の村が流され、ドセ川に鉱山の廃棄物が流れこんだ。川は、流域の村にきれいな水を供給することで、健やかな生活を約束していた昔を懐かしむ。率直かつ詩的な言葉で、ブラジル最大規模の環境破壊のあらましが語られ、不運を嘆く川の哀歌が聞こえてくるようだ。イラストレーションは、アクリル絵の具、テンペラ絵の具、紙を用いたコラージュで描かれている。

＊画家について　1973年生まれ。ペルナンブーコ州立大学でコミュニケーション学を学び、造形芸術講座の一環として、絵画のグループ展に参加した。ブラチスラバ世界絵本原画展、ボローニャ国際絵本原画展に出展。作家、イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活動するかたわら、読書振興運動にもかかわる。おもな作品に、「オバックス」（2010）、「雲のあいだ」（2013）などがある。